型取り技法による陶彫作品の制作

石膏の雌型を使った脱型による、陶芸作品の複製技法について。

こんにちは。今年も残りわずかとなりました。atelier kotarouの柳田憲児です。この頃の季節の陶芸作品の制作は水仕事の側面もあり、手がかじかんでお湯が欠かせない季節です^^;

今回記事は石膏の雌型(めがた)を用いて、陶芸作品を複数制作する技法をお届け致します。

①石膏の雌型(めがた)を用意する。

陶芸作品の脱型(雌型から陶土を取り出し、成形すること)の用途には石膏を用いた型が非常に優れています。何故なら、石膏には水分を吸いやすいという性質があるため、陶土を雌型に押し当て成形(これを“型取り”といいます)する際、瞬時に陶土の水分を石膏雌型が吸い取るため、非常に離型性(型からの取り出しやすさ)に優れた脱型素材と言えるからです。

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石膏の雌型。 立体物を作る場合、型を二つに分割し制作する。

②雌型に陶土をそれぞれ詰める。

ペアになっている石膏型それぞれに陶土を詰めます。この際、型同士を合わせて陶土を脱型する事を念頭に入れながら、“陶土を型に押し当てて作品を成型するイメージ”で陶土を型に詰めてください。陶土の量が不十分だと、貼り合わせて脱型する際にうまく脱型することが出来ません。この際、作品の中央部分、そして、縁の部分を気持ち多めに詰めるのがコツです。そうすることで型を合わせて陶土を取り出す際に型から外れやすくなります。

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石膏の雌型それぞれにに、陶芸粘土を詰めます。

③粘土を詰めた雌型同士を合わせて、雌型から粘土を脱型する。

②で詰めた陶土を石膏型同士を合わせることで脱型します。この型を張り合わせる時に二つの型同士を型の“ガイド”(型の張り合わせ面の外周にある突起のこと)がそれぞれきれいにはまるように押し合わせて下さい。きれいに合わせられないと、うまく脱型することができません。石膏型に押し当てて成形した陶土の形を崩さないように、丁寧に型から脱型します。写真でご確認できますように、陶土のつなぎ目に少し陶土が余分にはみ出していますが、この余分にはみ出した陶土を二分割されている陶土の結合に使います。②で縁に余分に陶土を詰めたのはこのためです。また、作品陶土中央部に余分に陶土を詰めるのも、それぞれの雌型の陶土同士が型を押し当てた際にくっつきやすくするためです。境目を余分にはみ出した陶土で上から指でなじませくっつけます。

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雌型から脱型し貼り合わさった状態の陶土。まるでたい焼きのような形に・・・。

④脱型した陶土の形を整え、作品として仕上げる。

陶土作品を脱型、結合した後、表面をきれいに整えます。成形の仕上げとして、細かい眼、ヒレ、鱗の細部を仕上げます。

これで、石膏の雌型を用いた脱型による陶芸作品の複製技法の成形の全行程は終了です‼^^

この成形後、乾燥→素焼き→下絵付け→施釉→本焼き焼成(1230℃程)の各工程を経て、作品は完成となります。

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石膏の雌型から脱型し、形を整えた作品の様子。 型取り技法を用いることにより、同型の作品を複製できる。
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このままでも十分可愛らしいですね・・・!
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眼を造形し、ヒレや鱗の細かい仕上げを行い、成形は完成。
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この後作品を一週間程乾燥させ、素焼き→下絵付け→施釉→本焼き焼成(1230℃程)の工程を経て完成。

今回記事では、“石膏の雌型を使った脱型による、陶芸作品の複製技法について”ご紹介させていただきました。

この型取り技法にはもちろん雌型の原型となる原型制作、そして、原型からの石膏雌型制作が必要ですが、この原型制作から雌型制作までのご説明は、また後日改めてご紹介させて頂ければと存じます。

今後とも当atelier kotarouは皆様の暮らしと気持ちを少しでも明るく、そして豊かなものにするお手伝いをさせて頂くべく日々何かその様な有益なものを作品、ウェブサイト等を通して皆様に提供させて頂ければ幸いで御座います。

今後とも、当atelier kotarou及び彫刻家柳田憲児を何卒宜しくお願い申し上げます。  柳田

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