木彫作品の制作過程 Processes on carving wood sculptures, some steps of them. Step 3: Middle carving. その3:中彫

こんにちは。先日にひき続き、木彫の制作過程をご説明させて頂きます。

前回記事では、チェーンソーで木材の四面(前後左右)それぞれのデッサンのアウトラインまで切り込みを入れ、その深さまで平鑿ではつり、そして、丸鑿で大まかな形を彫り出す step②:荒彫 のご説明を致しました。

今回記事では、その荒彫よりさらに進んだ彫り込みであるstep③:中彫の説明記事になります。

楽しみながら読んで頂けましたら、幸いです。^^

③:中彫 細部を除いた作品全体の形を彫り上げる

②:荒彫で大まかに捉えた(彫り込んだ)形を、それよりさらに細かい形に細分化する(彫り込む)イメージで、彫り進めていきます。

作品の形を荒彫よりもさらに細かく彫り上げていきます。

②:荒彫では作品の大まかな形・量感を出すにとどまりましたが、中彫では荒彫の形をさらに細かいそれへと彫り込んでいくイメージで、幅の狭い鑿も併用しながら彫り進めていきます。

例えば、荒彫で単純な円筒形として捉えた(彫り出した)腕を、腕部(円筒形)・手の部分(球体)とさらに細かく彫り上げ、その手の部分を五本の指(五本の細い円筒形)とそれまたさらに細かく彫り込んでいく・・・といったプロセスを、繰り返していくイメージです。

このプロセスの最後の方が、所謂④:仕上げ彫 の段階になります。

当然、この作品の形態を細かくしていく(彫り込んでいく)プロセスを繰り返せば繰り返しただけ、作品がより密度の高いもの(形態に厳しく迫ったもの)となっていくことが、ご理解頂けるかと思います。

最終的な仕上げ(④:仕上げ彫)のことを考えて、少し形に余裕を持って彫ると、後々仕上がりのイメージを決める際に、微調整ができるので、形に少し遊び(余裕)があると良いかもしれません。
完成形により近い形にまで、彫り込んでいきます。
中彫に限らずあらゆる段階で留意すべきことですが、作品制作においては、全体を同じ密度(作り込みの細かさ)で進めていくようにして下さい。
途中で作品の比較的大きな変更があった際に、その変更部分にもし仮に折角時間をかけて細かく彫り込んだ(作り込んだ)部分が含まれていると・・・ 
非常にもったいないですよね^^;

作品によっては、この記事における ③:中彫 の段階で作品の完成とするものもありますので、「この段階の仕上がりが自分のイメージに合っている!」という方は、これで完成として頂いても、とっても素敵だと思います。^^(もうこれ以上作品の形が変わらないな、と判断したら、step⑤:内刳 を行ってください。内刳については、別の記事にてご説明しますね。)

日本全国には様々な仏像彫刻をはじめ、古代から近代まで数多くの木彫作品が現存していますが、それらは例えば原木を荒々しく彫り上げた状態の力強い作品(極端な例だと、元々の原木の形がすでに何らかの形に見えるので、その自然なままの形を作品としたものも存在します)から、手の皺や髪の毛の一本に至るまで、一瞬木彫のそれとは判別できないほどまで細かく彫り込まれた所謂超絶技巧的なものまで、様々な作品があります。

それ故、どれが正解といったことや、ましてどれがどれよりも優れているなどということは決してないので、皆様お一人お一人のイメージに一番しっくりくる彫りあがり(完成)の作品を、是非制作して頂ければと思います。

もし、完成形のイメージが今回記事のようなものよりさらに細かいものである場合は、次回以降の記事も、是非読んで頂けましたら、幸いです。

ここまで読んで頂き、誠に有難う御座いました!

次回記事に続きます。

今後とも当atelier kotarouは皆様の暮らしと気持ちを少しでも明るく、そして豊かなものにするお手伝いをさせて頂くべく日々何かその様な有益なものを作品、ウェブサイト等を通して皆様に提供させて頂ければ幸いで御座います。

今後とも、当atelier kotarou及び彫刻家柳田憲児を何卒宜しくお願い申し上げます。  柳田

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