陶芸作品が完成するまでに必要な制作工程。6 steps we should know through making works of pottery. Part 1(前半)

陶芸作品を完成させるまでの大まかな流れは、①成形→②乾燥→③素焼き→④(絵付け・施釉)→⑤本焼き→⑥(完成)という流れに大別されます。

こんにちは。atelier kotarouの柳田です。近頃は徐々に肌寒い日が続いてますよね。コロナがまだまだ収束しそうもない昨今、皆様体調を崩されないようくれぐれもご自愛ください。さて、今回は陶芸作品ってそもそもどのようにして完成するのか?という疑問をお持ちの方のお役に立てる内容となっておりますので、ご興味のある方は是非御一読頂けますと幸いです。

まず初めにまとめさせて頂きますと、完成までの大まかな流れは①成形(陶芸の粘土で作品を形作る)→②乾燥(形作った作品を完全に乾燥させる)→③素焼き(乾燥させた作品を窯で700~800℃程で焼成する)→④絵付け・施釉(陶芸用の下絵具で彩色・釉薬を掛ける)→⑤本焼き(絵付けした・釉薬を掛けた作品を窯で1220~1250℃程で焼成する)→⑥完成 の6つのステップ(工程)に大別することができます。それでは、6ステップそれぞれを説明していきますね。

①成形(陶芸の粘土を好きな形に成形する)

まず始めは成形(作品の形作り)です。自分が成形した粘土が最終的には陶器の作品になるなんてとてもワクワクしますよね!^^この際にいくつか気を付けて頂きたいことがあります。陶芸作品はその作品の性質上、成型から最後の本焼き焼成をし完成するまでの各ステップにおいて所謂「割れ」が生じてしまうリスクをはらんでおります。しかし、各ステップごとにいくつかの注意点を守ることによって、勿論100%割れなどの失敗を防げるわけではありませんが、極力それらの失敗のリスクを軽減する事ができますので、是非ご参考にして下さいね。^^

早速ですが、①成形のステップの際に気を付けて頂きたい注意点は、実は粘土というのはその粘土の中に細かい空気が入っていると、素焼きや本焼きといった所謂焼成のステップの際に“水蒸気爆発”(粘土中に閉じ込められ逃げ場を失った空気が焼成時に高温で膨張し、粘土を内側から破壊してしまうこと)という現象を起こしてしまうリスクがあるのです。それを防ぐためにはまず粘土を成形す前にしっかりとした“土練り”(粘土をしっかり練って粘土の中の空気を抜く作業)をやっていただく必要があります。土練りの代表には“菊練り”という、粘土をこねる際に中心に粘土を押し込む作業を繰り返す練り方があります。これが最も効率的に粘土の中空気を抜くことができる方法です。“菊練り”という名称は粘土を上述のように繰り返し練った後の形がまるで菊の花の形のように見えることに由来しています。

次に注意していただきたい点は、出来れば作品を成形する際は極力作品の厚みは薄く仕上げるように心がけてください。粘土というのはその厚みがあまりにも厚すぎると、乾燥させる際に完全に乾燥させることが難しくなります。また、成形した作品の中で極端に薄いところや極端に厚いところといったように同一作品中に厚みに極端なばらつきがある場合、均等に乾燥させるのが難しいためです。乾燥のステップの中でも改めて詳しくご説明いたしますが、

実は陶芸作品の失敗(主に割れ等)の原因の多くは“②乾燥”のステップで起こっている と言われています。これは完全に乾燥しきっていない作品の中には水分が残留しているため、高温での焼成の際にその水分の体積が著しく膨張し、先程述べた空気の水蒸気爆発以上の爆発を作品が起こしてしまうからです。つまり、陶芸作品を成形→焼成するといったときに起こる失敗の原因のほとんどは所謂“作品の十分な乾燥不足”が原因であることが多いのです。つまりこれは逆を言えば陶芸作品の“焼成の際の爆発の失敗”のリスクは乾燥を十分にさせることによって防ぐことができるとも言い換えることが出来るのです。これは非常に大切な点になりますので、作品を作る際は常に念頭に置いて制作に取り組んで下さいね。^^

最後に、これは例えば轆轤や手びねり等で所謂“器”や“袋物”(壺や徳利など)を成形する場合は関係がありませんが、もし粘土で器などではない所謂立体造形物を成形したい時に、上に述べたようにやはり作品の厚みをなるべく薄くする必要性から、また、作品の芯として新聞紙や発泡スチロールといった物を使用することも出てくると思うのですが、この際に作品の外側から棒やヘラ等で穴を開け、作品の芯材と外の空気との通気口を絶対に確保してください。また、きちんと通気口を確保したと思っても、その穴を開けた後成形を続けているうちにせっかくあけた穴が塞がってしまうこともありますので、作品を成形し終わった最後の最後に必ず穴が粘土に途中遮られずに芯材にまで到達していることを確認して成形のステップを終えてください。この穴開け作業を忘れてしまうとこれまた逃げ場を失った作品中の空気が爆発を起こし、折角の作品が台無しになってしまうという大ショックな結末を迎えてしまいます。^^;そして何より、万が一作品が作品が窯の中で爆発してしまうと、窯のお掃除がとっても大変になります。皆様がもし芯材を用いての陶芸作品制作をご検討の際は、この点くれぐれも覚えておいて下さいね。^^

②乾燥(①で成形した作品を完全に乾燥させる)

次は、陶芸の全工程中最も注意を要する乾燥のステップです。この工程の目的は成形した作品を完全に乾燥させる(作品の中に含まれている水分を完全に無くす)事です。作品が完全に乾燥したかどうかの目安は大まかに2つあります。

1:作品が成形時と比較して全体的に明らかにそれよりも薄いグレー色になっている。(主にグレー色になる陶土が多いですが、基本的にはどの陶土も成形時の可塑性のある、水気のある時の色と比べて全体的に薄い色になっていれば完全に乾燥したサインです。)

2:成形時と比べて陶土の重さが軽くなっている。これは作品を持ち上げた際に成形時と比べて明らかに軽くなっているのがわかると思います。その持ち上げた際に少し指先にひんやりとした感覚があれば乾燥が今一つ不足しているかもしれません。完全に乾燥した作品の手触りは基本ザラッとした、水気を感じない感覚ですので、この2の目安も大いに参考になると思います。

そして作品を乾燥させる期間の大まかな目安ですが、例えば小皿などの小さい、かつ薄い作品は約1週間で完全に乾きます。所謂一般的な大きさ、厚さの作品は2週間もあれば十分乾燥しうると思いますが、私は念のために普通程度の作品に関しては3週間という風に留意して乾燥期間としています。そして最も厚く、かつ大型の作品に関しては、私の経験上では基本的にはどこまで大きな作品であったとしても1ヶ月と半月も乾燥期間を設ければ、まず水蒸気爆発等を起こした経験はありません。そしてこれらの乾燥期はもちろんですが作品を乾燥させている期間中の季節、気候、天気によっても左右されますので、一概にこの期間乾燥させたから絶対に大丈夫だという確証にはなりえません。そのためやはり各々の作品が完全に乾燥したか否かは各々の作品においてそれぞれ上述の1:作品の色による判断2:作品の重さによる(持ち上げた時の手触りによる)判断が最も正確、かつ確実ですので、是非参考にして下さい。

最後に、作品乾燥のステップでの失敗のリスクを回避するもう一つの留意点は、作品を均一に、かつゆっくりと乾燥させることです。これを行うことによって偏った乾燥による作品の“干割れ”を防ぐことができます。これは、例えばスーパーなどで使われている発泡スチロールの箱の中に、成形した作品を入れ、その上から新聞紙で箱の開口部をすっぽり覆うことによって、作品を均一に、かつゆっくりと乾燥させることができます。そして、この箱で乾燥させることによって人工的に暗冷室の環境を箱内に作り出すことができるとともに、初期の乾燥時にはなるべく避けるべき直射日光が作品に当たることも同時に防ぐことができる一石二鳥の方法なので、とてもオススメです。^^

③素焼き焼成(700~800℃で②で乾燥させた作品を窯で焼く)

作品を乾燥させた後はいよいよ焼成(作品を窯で焼くこと)のステップです。昔は所謂穴窯、登り窯といったもので日夜交代制で窯の守をしながら薪をくべ、徹夜で数日間も焼成を行う必要がありましたが、今現在にいおいては基本的にスイッチ一つで焼成を全自動で行ってくれる電気窯やガス窯といったものが存在する大変有り難い時代になっていますので、気を付ける留意点は基本的には作品の窯詰め(作品を窯に入れること)の際の注意点だけになります。私は作品の焼成には電気窯を使用しているのですが、この電気窯の窯詰めの際の注意点をまとめると、

1:窯詰めした作品が炉内(窯の作品を入れるスペースのこと)の電気熱線(この熱線が超高温になる現象を利用し陶土を焼成するのが電気窯の仕組みです)と接していないか必ず確認する。これはもし作品が熱線と接していると通電時に熱線が断線してしまう危険があるからです。

2:炉内の温度を測るセンサーにも作品が触れていないか必ず確認する。これはもし作品がセンサー(窯の炉内側面上部に横に突き出た形でついていることが多いです)と触れてしまっていると、単純にセンサーが故障してしまうからです。とても怖いですよね。^^;

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素焼き焼成窯詰めの一段目の様子
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素焼き焼成窯詰めの二段目を組んだところの様子。支柱を3、または4本用いて二段目の棚板を支柱の上にのせ、作品を乗せる。

3:窯の上部の蒸気口を炉内が200~300℃の時に栓をする。これは焼成開始直後から一定時間作品から余分な水分(蒸気)を蒸気口から放出させなければならないからです。私の使用している窯では700℃で焼成設定で焼成開始から約三時間後に炉内が丁度その温度帯(200~300℃)になっています。もしこの蒸気口に栓をし忘れてしまうとこの口を通して高温になっている炉内の空気と常温の外気が常に接している状態になり、作品が所謂“冷め割れ”(陶器が急に冷やされることにより割れてしまう現象)を起こしてしまい折角の作品が台無しになってしまいますので、この栓を閉じる作業は忘れないようにして下さいね。

4:窯から作品を出す作業(“窯出し”と言います)は炉内が約100℃を下回ってから行う。これは、極端な例えですがもし炉内が700~800℃といった高温の時に窯の扉を一気に全開にしたと仮定します。するとどうなるか…考えただけでも怖ろしい絵が思い浮かびますよね^^;ある意味窯での焼成時における最も危険な行為です。やる人がいるわけがありません。・・・いるのかな?また、100℃は、窯の扉を開けられる温度ではあるのですが、当然高温ではありますので、作品を窯から取り出す作業は出来れば窯のふたを開けて炉内空気と外気温度がなじんでから取り出すのが良いです。その際も軍手や革手袋等をして火傷をしないように気を付けながら作業を行って下さい。また、炉内の熱線も焼成直後は非常に高温です。腕や顔などに熱線が触れて大火傷をしないようにくれぐれもご注意下さい。

5:焼成を終えた後は毎回必ず窯の掃除(特に炉内の熱線周辺は念入りに)行う。これはもし熱線に粘土のカスや釉薬の粉(⑤本焼き焼成の項で詳述します)が付着したままの状態で次回焼成を行うと、最悪熱線が断線してしまうからです。掃除は決しておろそかにしてはいけないとても大切な作業です。毎回窯への感謝も込めてしっかり掃除しましょうね!^^

最後に、この所謂焼成のステップ(素焼き焼成、そして本焼き焼成)は6ステップ中最も身体に危険が及ぶ可能性が高い工程になります。例えば電気窯は通電した電気と熱線との電気抵抗の際に生じる熱を利用して焼成を行うと説明致しましたが、つまりこれは熱線には高圧の電流が流れているということを同時に意味します。もし通電時に人体が熱線に触れると最悪の場合感電死してしまうことも十分にあり得ます。そのためこの焼成のステップは例えばとても疲れていたり、考え事や悩み事などで心身ともに平静でないとき、また、窯の焼成の知識や経験に自信がない方は絶対に行わないで下さい。また、陶芸初心者の方などで自信のない方は焼成のステップだけを例えばプロの作家さんや陶芸工房、窯元等に依頼されても安心でいいかもしれません。また、先程の窯出しの作業は必ず①:窯のスイッチ(電源)が切れていることを必ず確認する②:窯につながっているブレーカーが落ちていることを必ず確認する③炉内の温度が窯出しをしても安全な温度かどうかを確認してから行うことをくれぐれもご留意して行って下さい。この窯詰め・焼成のステップにおける合言葉は

安全第一」です。

同じ焼成である⑤“本焼き焼成”については、後ほど詳しく説明致しますね。ちなみにこの③素焼きのステップの所要時間はおよそ36時間と把握しておいて下さい。これでようやく次のステップ④(絵付け・施釉)のステップへと進むことができます。

今回は“陶芸作品が完成するまでに必要な制作工程。6 steps we should know through making works of pottery.”の6ステップの内前半の①:成形→②:乾燥→③:素焼き焼成のステップを説明させて頂きました。^^次回記事 : Part 2ではその後半にあたる④:(絵付け・施釉)→⑤:本焼き→⑥:完成のステップについて詳しく説明していきたいと思いますので、もし興味のある方は引き続きそちらの記事もご覧になって下さいね!

また、この記事はあくまで陶芸作品が完成するまでの制作工程の流れを大まかな概要として述べているだけのものなので、個別のステップの更なる詳細を知りたい方、もっと言えば実際に皆さんが陶芸作品の制作に取り掛かる際には、私のこの記事だけではなく、必ず専門家・プロといった方々のアドバイスや指導を仰いで、その監督、指示のもとに細心の注意を払いながら、しかしもちろん本来の陶芸作品制作の楽しみを味わいながら取り組んで下さいね。^^

ここまで記事を最後までお読み頂き、誠に有難う御座いました‼

atelier kotarou 彫刻家 柳田憲児

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