木彫作品の制作過程 Processes on carving wood sculptures, some steps of them. Step 6:Finishing . その6:仕上げ
こんにちは。ATELIER KOTAROUの柳田です。
昨日夜は雷雨激しく、梅雨もまだまだ続くかな、という天候でしたが、今朝はすっかり晴れて、いかにも夏らしい、暑い気候。
昨日買い物に出かけた際、薄手のジャケットを羽織っていたのですが、流石に若干暑かったです。^^;(やせ我慢で脱ぎませんでしたが。)
蝉も遠くで鳴いております...。梅雨明けもそろそろですかね。
さて、前回記事では、彫り込みを終えた木彫作品に、割れ防止と軽量化、そして作品強度を増す効果をもたらしてくれる Step⑤:内刳 についてご説明致しました。
この内刳作業を行うことの多くの利点を、前回詳述させて頂きました。
今回記事ではいよいよ木彫作品制作過程の最終工程にあたる⑥:仕上げについて、ご説明させて頂きます。
是非、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
⑥:仕上げ 作品の細部を修整し、着彩等を施し、作品表面の最終的な仕上げを行う。
内刳をする際に鋸で後頭部を切り取り内蓋(うちぶた)を作りましたが、その際の鋸での切断によってできた隙間(段差)を埋める必要があります。
上の写真はその隙間を補填材で埋めた様子です。
私は商品名「Sculp Wood Putty」(スカルプウッドパテ)(System Three)というエポキシ系の補填材を用いています。
この補填材は、木材の割れの部分の補修にもとても適していて、補填後に作品を遠目で見ると割れが識別できないくらいきれいに補修できます。
割れのような細かい(細い部分)であれば商品をそのまま使っても良いのですが、ある程度面積の有る部分を補填する場合には、このパテに細かい木屑(できれば同じ木材からとれたものが良いです。)を混ぜて、所謂“色合わせ”を行って下さい。
この木屑をパテに混ぜる際に、混ぜる木屑の量がパテに対して多すぎるとパテ自体の元来の接着力が弱まってしまうため、ご自身で色と接着力のバランスを見ながら、色合わせを行って下さい。
また、作品の劣化の激しい部分、強度が心配な脆い部分に関しては、できればもっと早めの気付いた段階で、色の近い別の木材をその部分にあてがうか、少しの補填ですむ場合は、やはりこの補填材で埋めて修整をして下さい。
着彩を行う。
作品表面の修整・補填作業を終えたら、お好みで着彩等を施して、更なる仕上げを行います。
しかしながら、表面の着彩や処理を一切行わずに、木材の色合いの自然な経年変化を愉しむのも、非常に魅力的な選択肢の一つだと思います。
京都・奈良の仏像彫刻に代表されるような、長い年月によってのみもたらされる、無垢材のあの深い色合い、説得力は、決して人間の手仕事ではもたらされえない、時間のなせる業です。
今回の作品例ではアクリル絵の具で彩色を行いましたが、もちろんそれ以外にも様々な着彩方法・表面処理方法が存在します。例を挙げますと、
・油彩
・ステインでの仕上げ
・墨汁
・着彩ニスでの仕上げ(個人的にはあまりお勧めしかねます。せっかくの木の風合いがニスに覆われることで台無しになってしまいます。)
・無処理(先程御説明した、無垢材の経年変化をそのまま愉しむ方法です。)
・・・等
作品の最終的な仕上げとしてどのような方法を選択するかは、ご自身が作品に最終的にどのような形・印象として残ってほしいか(残り続けてほしいか)によって、決定なさって下さい。
また、例えば、油彩やアクリル絵の具で彩色して仕上げを行う際は、最後に、表面を保護する意味でスプレータイプや艶消しタイプのワニスや樹脂で彩色部に保護処理を行って下さい。彩色部分のもちがより長くなります。
勿論、上述のような保護処理を行わないで、彩色が時間とともに落ちたり、木材ともども変化するのを愉しむのも、とても素敵だと思います。
是非、いろいろな方法を御自身で試してみて下さいね。^^
今回記事は以上になります。
これで、木彫作品制作過程は全て終了です。
この度の木彫作品制作過程シリーズの記事が少しでも皆様の参考になれば、幸いで御座います。
最後までお付き合い頂き、誠に有難う御座いました。
今後とも当atelier kotarouは皆様の暮らしと気持ちを少しでも明るく、そして豊かなものにするお手伝いをさせて頂くべく日々何かその様な有益なものを作品、ウェブサイト等を通して皆様に提供させて頂ければ幸いで御座います。
今後とも、当atelier kotarou及び彫刻家柳田憲児を何卒宜しくお願い申し上げます。 柳田
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